皆様、2022年分の確定申告の進捗は如何でしょうか。
私たち会計事務所は皆様の確定申告書を作成するのが仕事ですが、その年その年で気になることがあります。
今回は、その中からいくつかの例を紹介したいと思います。
コロナ保険金
コロナ感染で、みなし入院として生命保険会社から保険金・給付金(保険金等)をもらった方も多いと思います。この保険金等の収入は所得税法上非課税とされるので、確定申告は不要です。
ただし、年間の医療費が10万円を超えて、医療費控除を受ける場合、この保険金等は「保険金などで補填される金額」として、医療費の額から控除する必要があります。といっても、全体の医療費から控除する必要はなく、対象となったコロナに関連してかかった医療費から控除するだけでOKです。通常は、コロナ医療費ってほとんどかからないので、控除しきれない保険金等は非課税となります。
寄付金控除は、所得控除か、税額控除、どっちが有利か
寄付金であっても、政党、認定NPO法人(ワールドビジョンジャパンなど)、公益社団法人等(ユニセフなど)の3パターンの場合は、所得控除(寄付金控除)か、税額控除(NPO)のいずれかの選択が認められます。
じゃあ、どっちが有利なのと思われるのが普通でしょう。
どっちが有利かは、それぞれの仕組みを理解するとわかります。
「所得控除」の方は、適用税率分が控除できる(寄付金×自分の所得に適用される税率)のに対し、
「税額控除」の方は、政党は寄付金×30%、以外は寄付金×40%の税金が減らせるので、所得の大きい方は高い税率分控除できる所得控除が有利、そうでない方は一定率が控除できる税額控除が有利となります。
その分岐点は課税所得金額ベースで900万円位です。
なお、国や地方公共団体(ふるさと納税)、指定寄付金(日本赤十字、大学など)への寄付金は、所得控除のみです。
ふるさと納税は、所得控除のみの適用ですが、限度額までは2000円超過分は所得税・住民税合わせると、全額の控除が受けられるので、寄付金の中でも一番お得な制度です。
株式投資とFX投資
金融投資をされている方は少なくないと思いますが、株式投資、FX投資、仮装通貨投資は、それぞれ税金の取扱いが異なります。
まず、株式投資。譲渡所得になりますが、証券会社の特定口座に預けておくと、売買時に所得税と住民税が源泉徴収(儲けの20.315%)されるので、原則として確定申告は不要です。ただし、複数の証券会社に口座を持っていて、片方が黒字、他方が赤字の時は損益を相殺するために確定申告した方が有利です。また、株式投資がその年合計で赤字のときはその赤字を翌年以降3年間繰り越すことができるので、確定申告した方が有利です。
次にFX投資。雑所得になりますが、申告分離課税なので、自分で儲けを計算し、確定申告と納税が必要です。(所得税+住民税で20.315%)複数口座がある場合の相殺、3年間の繰越は、株式投資と同様です。
最後に仮装通貨投資。雑所得になりますが、総合課税なので、サラリーマンの方は給与所得以外の所得(儲け)が20万円以上あるときは、確定申告と納税が必要です。総合課税なので、給与所得などと合算され税率は最大55%(所得税+住民税)が適用されます。他方、総合課税でも赤字の時の相殺は雑所得内に限られ、赤字の繰越は認められません。
また、株式投資、FX投資、仮装通貨投資の損益はそれぞれ別々に計算し、各投資に赤字と黒字があっても損益の相殺は認められておりません。
金融投資に際しては、税金の扱いも考慮に入れて、何投資にするか選択したほうがよいと思います。