所得税の確定申告は2月16日から始まり、3月15日が申告期限ですが、今年も4月15日までに申告期限が延長されました。
 緊急事態宣言が出ていないので、今年は延長されないと言われていましたが、1ケ月伸びたので、昨年同様ゆっくりと考えた上で対応できます。
 但し、昨年のように自動で伸びるわけでなく、申告書の右上余白に「「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載する必要があります。パソコンやスマホで申告する方は「特記事項」欄にその旨入力する必要があります。

1.確定申告しなければならない方

 ビジネスマンの方が会社からもらう給料や賞与は給与所得になります。
通常は年末調整で所得税の精算は完結しますが、以下のような場合は、確定申告が必要で、通常は申告によって追加納付が生じます。

① 給与以外の所得(例えば、雑所得)が20万円超の方
② 年収が2000万円を超える方(そもそも年末調整しない)
③ 2箇所以上から給与をもらっている方 など

2.確定申告した方がお得な方

 上記の1.に該当しなければ、確定申告する必要はありませんが、確定申告した方が得な場合があります。
 以下のケースでは、確定申告によって所得税の還付が期待できるので、確定申告することをお勧めします。
 
① 年の途中で退職した方
 年の途中で退職された方は、年末調整を受けていないので、確定申告によって通常は所得税の還付を受けられます。


② 年の途中で、結婚した、又は、父母(70歳以上)と同居したなど、扶養家族が増えたが、年末調整で適用を受けていない方
・配偶者の所得が48万円以下の場合で、自分の所得が1000万円以下の場合、最大38万円(老人配偶者(70歳以上)の場合、48万円)所得控除できます。なお、配偶者の所得が48万円超のでも133万円以下の場合、配偶者特別控除が利用できます。これは配偶者(女性)の社会進出を促すための措置です。
・父母(70歳以上)の所得が38万円以下の場合、最大58万円 所得控除できます。
・いずれも年末調整で適用を受けることができるので、確定申告で有利になるのは、未適用の場合に限ります。
・なお、16歳未満の子は子供手当が支給されるので、所得税の扶養控除の対象外とされます。


③ 配偶者や子供などの社会保険料を支払い年末調整の対象にしていなかった方
 自分または生計を一にする配偶者・親族の国民健康保険の保険料、国民年金の保険料等を支払い、年末調整の対象にしていなかった場合、支払額が所得控除できます。


④ 生計を一にする家族分合計で10万円超の医療費の支払をした方
 自分または生計を一にする配偶者・親族の医療費を支払った場合、10万円又は所得の5%を超える額が所得控除できます。
 また、医療費が10万円を超えない場合でも、風邪薬や胃腸薬などスイッチOTC薬品の購入費が1万2000円を超える場合は、医療費控除に変えてセルフメデケーション税制(所得控除)が利用できます。


⑤ 住宅を取得、又はリフォームし、住宅ローンの契約をされた方
 住宅を取得し、又はリフォームし、自分の居住用に供し、償還期間10年以上の住宅ローンがある方は、借入金残高の1%が所得税額控除できます。


⑥ 寄付やふるさと納税をされた方
 寄付やふるさと納税をした場合、2000円を超える額が所得控除、及び、住民税の税額控除ができます。ふるさと納税は、一定の限度額までであれば、2000円を超える額が税額控除できるようになりますし、返礼品ももらえるお得な制度です。


⑧ 災害、盗難、横領に遭われた方
 災害損失の場合、5万円又は所得の10%の少ない額を超える額が所得控除できます。

 確定申告は国税庁のウエブサイト「確定申告書作成コーナー」から、簡単に作成できます。適用を受ける際は、それぞれの要件があるので、チェックを忘れずに行ってください。
 また、還付申告の場合は、開始時期が2月16日でなく、1月1日からになります。
 なお、過去の年分について、お得なのに確定申告していなかった場合、過去5年間分であれば確定申告することができます。