今回は、インボイスの記載事項に関して、ご説明いたします。

インボイスの記載事項及び留意点

 事業者が発行するインボイスには、以下の事項が記載されていることが必要となります。

下線は現行の記載事項から追加される項目です。

① インボイス発行事業者の氏名又は名称及び登録番号

(留意点)屋号・記号、番号による記載

 名称は、例えば、電話番号を記載するなどして、インボイスを交付する事業者を特定することができれば、屋号や省略した名称などの記載でも差し支えありません。

 また、登録番号と紐付けて管理されている取引先コード表などをインボイス発行事業者と相手先の間で共有しており、買手においても取引先コードから登録番号が確認できる場合には、取引先コードの表示により「インボイス発行事業者の氏名又は名称及び登録番号」の記載があると認められます。

② 課税資産の譲渡等を行った年月日

③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)

④ 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率

⑤ 税率ごとに区分した消費税額

(留意点)端数処理のタイミング

 インボイスの記載事項である消費税額等に1円未満の端数が生じる場合は、一のインボイスにつき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要があります。なお、端数処理の方法は、四捨五入、切上げ、切捨てなど、任意の方法を選択することが可能です。

(注)一のインボイスに記載されている個々の商品ごとに消費税額等を計算し、1円未満の端数処理を行い、その合計額を消費税額等として記載することは認められません。

⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

【記載例】

(参考)消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問43~46 インボイス制度に関するQ&A目次一覧|国税庁 (nta.go.jp)

簡易インボイスの記載事項と対象事業

 インボイス発行事業者が、小売業など不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う場合には、インボイスに代えて、簡易インボイスを交付することができます。

【簡易インボイスの対象事業】

★ 小売業

★ 飲食店業

★ 写真業

★ 旅行業

★ タクシー業

★ 駐車場業

★ その他これらの事業に準ずる事業で、不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業

(留意点)「不特定かつ多数の者に資産の譲渡等行う事業」とは?

 個々の事業の性質により判断を行います。例えば、資産の譲渡等を行う者が資産の譲渡等を行う際に相手方の氏名又は名称等を確認せず、取引条件等をあらかじめ提示して相手方を問わず広く資産の譲渡等を行うことが常態である事業などについては、これに該当します。

 簡易インボイスの記載事項は、通常のインボイスよりも簡易なものとされており、

① 「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載が不要である点

② 「税率ごとに区分した消費税額等」又は「適用税率」のいずれか一方の記載で足りる点

が異なります。

【記載例(税率ごとに区分した消費税額のみを記載する場合)】

【記載例(適用税率のみを記載する場合)】

(参考)消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問47

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