今回は、時系列にて特例事業承継税制の流れ(贈与ケース)を見てゆきたいと思います。
1.特例承継計画の作成
承継税制を利用する場合、まず承継計画を作成します。
承継計画は会社が認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けて作成し、通常は贈与前に都道府県に提出します。
承継計画の提出期限は、平成35年3月31日までとなっており、それまでなら贈与・相続後の提出でも認められます。
2.生前贈与
次に、贈与の実行へと進みますが、贈与者は贈与時において代表者を退任していることが求められます。
経営者(1代目)から後継者(2代目)へ代表交代を行った上で、株式を後継者へ生前贈与します。
複数の株式保有者(例えば、先代経営者の妻)から贈与を行う場合には、この贈与に引き続き、贈与します。
3.認定申請と贈与税申告
贈与後に、会社は期限内(贈与翌年1月15日)に都道府県の担当部局に必要書類をそろえて認定申請を行い、この認定書写しと共に、後継者(2代目)の贈与税の申告期限内(贈与翌年3月15日)に税務署へ贈与税の申告を行います。
申告時に、猶予税額とこれに対する利子税に相当する担保の提供を行うと、後継者の贈与税は100%猶予されることとなります。
4.経営承継期間
贈与税の申告期限の翌日から5年間は要件の厳しい経営承継期間です。
この間、後継者(2代目)は代表者であり続け、対象となった株式は保有し続ける必要があります。
経営承継期間中(5年間)は、都道府県への報告(年次報告)は毎年申告期限応当日の翌日から3ケ月以内に、税務署への届出書は5ケ月以内に提出が必要です。
経営承継期間を過ぎると、3年を経過するごとに税務署に継続届出書の提出が必要ですが、都道府県への報告は不要です。
5.贈与税の免除
やがて、先代経営者(1代目)が亡くなると、後継者(2代目)が猶予されていた贈与税は全額免除されます。
次回は、贈与後の相続税の猶予と免除について解説します。